<レコーディングスタジオを40db防音性能で自ら設計・施工した>
音楽制作の業務に必要なレコーディングスタジオを40db防音性能で自ら設計し、施工を全て自分一人で行いました。この1ページにざっくり概要を書いています。
1.工事概要
2階建て木造建築物に対して、その1階部分の既存の部屋に、8帖のコントロールルームと4帖の録音ブースの内装防音工事を行った。
2.防音仕様
遮音設計:全方位40db防音以上とする(250hzで測定時)
壁:50mm×2=100mmの2重壁とした。間柱にボード貼り、中空間をロックウールで充填。
床:50mmの2重の浮床、50mmのスタイロフォームで充填した。ピアノを置く床には根太を2本増設。
天井:100mmの2重の吊り天井とした。中空間をグラスウールで充填、防振吊り木にて施工。
防振ゴムマット・鉛:壁・床・天井に関しては4mmの防振ゴムで部屋全体をくるむ様に施工、隙間からの音漏れを防ぐ仕様とした。西向きの壁のみ立地的に50db以上の防音性能が必要だったため鉛付の構造用合板をボードと併用した。
ペアガラスサッシ:8帖と4帖を隔てるドアにペアガラスのインプラスを採用し、奏者とのコミニュケーションを図れる様にした。その他、スタジオには自然光も欲しかったので、窓にはインプラスを2重サッシとして施工した。既存の窓との間は100mmとした。
ドア:ダイケンの35db防音ドアとした。
給排気のダクト工事・ダクト換気扇の設置(電気工事部分のみ電気工事業者に依頼した):
防音工事により気密性が上がるため給排気効率を上げるため40db消音チャンバー付のダクト配管工事とした。
仕上げ:壁紙およびペンキ塗装、調音部分は布クロス、装飾部分はタイル貼り。床フローリング貼り。隙間コーキングもしくは防音テープ。
3.スタジオ配線工事および付随工事
200Vおよび100V電源、照明などの電気工事(配線は電気工事業者に依頼した)
エアコンの取り外し・取り付け(電気工事業者に依頼した)
マイクケーブル:録音およびモニター用のマイクケーブルの配線工事は8chのマルチケーブルとした
5.1ch:映像用の音楽制作の為に5.1chの音楽再生用配線工事とした
映像プロジェクター:設置および配線工事
4.材料調達
石膏ボードやロックウール、建築金物などの通常の材料、インパクトドライバーや電ノコなどの工具はホームセンターにて調達した。
防振吊り木や、鉛付合板、インプラスなどやや専門性の高い部材は、通販にて調達した。
5.工期その他
工事はのべ約6か月かかった、通常の制作業務に支障がでない様に当初4帖部分から施工してみて、それがうまく行ったら、8帖のコントロールルームに着手する予定でスタート。4帖部分は2か月で完成。その後一旦休憩のブランクが4か月。残りの8帖には4か月かかった。工事中は生活部分と、工事空間を隔てるようしっかり養生をして臨んだ。
6.結果
40db防音達成! 試しにドラマーにきて叩いてもらったところ、深夜2時にブースに入って叩いていても問題なかった。
メリット:
録音した音にノイズが入らなくなったため、本格スタジオで録音したのと同じ効果が得られ、制作物のクオリティがアップした。
自分でやった分、デザインにもこだわれた。
隅々まで防音性能を把握しているので、後々フルに活用出来る様になった。
施工前よりエアコンが良く効く様になった。
夜中に大画面・大音量で映画を見れる様になった。
デメリット:
材料の調達から工事に関しては体力仕事。
工事の納まりには結構苦労した。
工事期間中はエアコンが効かない。